話を聴くのが上手なカウンセラーとのカウンセリング
やりとり
カウンセラーの応答は、黒色で記しています。
クライアントの応答は、茶色で記しています。
解説は、赤色で記しています。
@
今日は、どういうご用件ですか?
今の仕事は、とってもやっていけないので、辞めて郷里へ帰ろうかと思っているのですけど…。
そうですか。もう少し、そう思われる事情を聞かせていただけませんか。
もっと詳しく、個人的な立場や感情を表現するように促進。
A
小さい印刷会社に勤めているのですが、社長は新しい機械を入れる気が全然ありません。いつまでも手間のかかる古い型でやっていってはダメだと思うのですよね。かといって、私の言うことなど取り合ってもくれないし…。
社長さんのやり方に不満があるのですね。あなたの言うことも聞いてくれないし…。
クライエントの言ったことを、要約し、伝達している。
B
今が境目だと思うのですよ。技術的に新しいことに挑戦するか、このままダメになるか…。
それは、あなた自身のことですか。? それとも、会社のこと?
不明確な情報を明確化する質問。カウンセラーが、関心を持って話を聞いているということがクライエントに伝達される。
C
ええ、まあ、会社ですかね。今は印刷技術は目覚しく進歩しているのです。いつまでもタイプだ、活字だって、やっていてはダメだと思うのですよね。
なるほどねえ。会社が今のままではなく、もっと新しいことに挑戦して欲しいという期待があるのですね。
感情・欲求・動機の傾向を明確化しようとしている。
D
ええ、でも無理なんです。わかっているのです。それに本当は、辞めて郷里に帰ることもできないんです。
そうですか。どちらも難しいのですね。
表明された感情を了解し、伝達しようとしている。クライエントは、内省を始めている。
E
高校の先生が頼んで入れてくれた会社だし…、3年は我慢しろって、先生にも言われているし…。
そうですか。先生に言われたことを守りたいという気持ちもあるのですね。
欲求や動機のもうひとつの側面が浮かびあがってきている。この2つの側面が、クライエントを揺すっているのかもしれない。
F
でも、今のところでは、毎日、こんなことをしていて何になるんだろうって気がしてくるのですよ。仕事に慣れると、誰でもこういう気持ちになるって聞いたことがあるけど、そうなのでしょうか?
単に仕事に慣れてきたからなのか、あなたの意欲からなのか、よくわからないのですねえ。少なくとも、このままでは嫌だという気持ちなのですね。
安易に質問に答えず、クライアントの気持ちを明確化している。
G
いえ、結局、どちらもあると思うのですよ。でも、どちらかと言うと、会社が前進していって欲しい気持ちが強いかなあ…。
なるほど…。あなたとしては、どこへ進んでいったらいいのでしょうねえ。
クライエントに考えさせようとしている。
H
ちゃんと会社の皆と話し合えるといいと思うのですが…。どうも皆、いいかげんな人たちばかりで…。
そう…。会社の人がいいかげんで、あなたとしては、話す意欲がなくなってしまうのですね。
クライエントの気持ちをしっかり受け取っている。
I
いや、この間、少し、自分のさっきのような意見を皆に言ってみたのですよ。そうしたら、皆は「お前が1番若いのだから、どこかでちゃんと勉強してこい。」って、「そうしたら、皆で応援してやる」って…。
そうですかあ…。
カウンセラーは、声に気をつけ、しっかり気持ちを入れて応答することが大切。
J
なんだか馬鹿馬鹿しくなって、それで、気持ちのやり場がなくなって、ここへ話をしに来たのです。
なるほどねえ…。ところで、あなたは、どこかで勉強したいという気は、おありなのですか。
もう1歩踏みこんだ質問。カウンセラーは、クライエントの気持ちを明確にしようとしている。
K
ええ、あるにはあるのですが…。本当言うと、ちょっと自信がなくて…。
こうあったらいいという理想と、自分のできることに、ギャップがありそうなんですね。
カウンセラーは、更に明確化しようとしている。
L
ええ、そうなんです。
あなたは、正直な自分の心を知っている人だと思いますよ。今日、お話されたことを、一緒に、もう少し考えてみませんか。
クライエントへの指示と、継続来談への動機づけ。カウンセラーは、クライエントが、悔いのない決断ができるよう、手助けしていこうと考えている。
M
そうですね…。大事なことなので、もう少し自分の気持ちや考えをハッキリさせてから、今後のことを決めていきたいと思います。
カウンセリングの目標が決まる。
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カウンセラーが教える「自分が好きになる方法」
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