自律訓練法(自己催眠療法)
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別名、自己催眠療法とも呼ばれています。
ドイツの精神科医、シュルツによって公にされた、心身のひずみを自分で調整できるように考案された、系統的な心身の訓練法です。
私のカウンセリングルームいらっしゃるクライエントで、催眠療法を希望される方がいますが、私は、いつも自律訓練法をお勧めしています。
理由は三つあります。
まず一つめ、私自身が、催眠療法があまり上手ではないということ。
二つめ、自律訓練法は一人でも出来るため依存心も生まれないし、また、副作用も起きる心配がなく、そのうえ、効果も顕著であるということ。
三つめ、実は、催眠療法は、あまり(クライエントが望むような)効果がないということ。(言うまでもありませんが、効果がないわけではありません。)
と言ってしまうと、催眠療法を積極的に使っている療法士に申し訳ないので、その方を弁護しますと、催眠療法があまり効かない理由は、実はクライエントにあるのです。
催眠療法を望むクライエントは、大体、催眠療法に期待し過ぎです。だから「効かなかった」という感想を持つのです。実際には、全然効果がないということはありません。症状や問題によっては効果があるのです。(症状や問題によっては…です。催眠療法に限らず、すべての症状や問題を解決できる心理療法はありません) これは、テレビの影響が大きいと思います。テレビで、「あなたは犬です」と言われたタレントが、犬になりきっているのをご覧になったことが、皆さんにも1度ぐらいはあると思います。あれは、ヤラセであることが多いのですが、ヤラセでないことも確かにあります。あれについてご説明します。
催眠術師は、この人は催眠にかかりやすいかどうか、見極めるのが大変得意です。タレントというのは、かかりやすい人がほとんどなのですが、催眠術師は、かかりにくい人には決してかけようとしません。ですから、見ていて面白いようにかかるのです。それにタレントというのは、かからないと仕事がひとつ減るわけですから、かかっていなくてもかかった振りをしてしまうということもあるようです。
さて、「あなたは犬です」と言われて、犬になってしまう人は、実は5人に1人ぐらいしかいません。(タレントでは、3人に1人ぐらいいるかもしれませんが…) そして、どうしてあれほどまでに見事に犬になってしまえるかというと、本人が精神的に健康で、それ(犬になること)が自分にとってどうでもいいことだからです。例えば、「あなたはストリッパーです」と言われて、服を脱ぐタレントは、元ポルノ女優か、現ポルノ女優ぐらいしかいません。彼女らは、人前で服を脱ぐことに抵抗がないから服が脱げるのです。歌手は、いくら「あなたはストリッパーです」と言われても、決して脱いだりはしません。脱ぐ真似はするし、踊りもしますが、実際に脱ぎはしません。恥ずかしいからです。つまり、自分にとって大切なこと・重要なことに関する催眠は、非常にかかりにくいということです。
病んでいる人は、催眠にはかかりません。(非常にかかりにくいということ) そして、どうでもいいことしかかかりません。よって、本人が悩んでいることに関してはかかりにくいし、効果が少ないということです。
「あなたはお酒がやめられるやめられる」という催眠でお酒がやめられたら、こんないいこと、こんな楽なことはありません。世の中から断酒会もなくなってしまうだろうし、アル中の人も、すぐにいなくなってしまうと思います。
それと、○○催眠療法・センター行ったことのある人から、「結局、なんだかんだ説明するばかりで、ちっとも催眠をかけてくれなかった」「催眠にはちっともかかってないのに、『かかった、かかった』と言われた」「最初に、30枚のチケット、30万円を、ローンで買わされた」という話を、私は実際に何度も聞いたことがあります。それが一人二人ではないところが、催眠療法の怖いところです。どちらも派手に宣伝費をかけている所で、「だからあんなに広告を打てる金があるのか」と、私は妙に納得しました。(もちろん、中には、良心的な催眠療法士の方もたくさんいらっしゃることは、言うまでもありません。良心的な催眠療法士の方は、「催眠療法は万能だ」とは決して言いません。それが特徴です。)
なんだか、催眠療法をけなしたような文章になってしまいましたが、そうではありません。「催眠療法は、数ある心理療法の中のひとつで、それ以上のものでもそれ以下のものでもなく、人によって症状によって問題によって効果が認められる。」ぐらいに理解しておいた方が、クライエントにとっていいかと思います。それからこれは、催眠療法に限ることではありませんが、くれぐれも、いかがわしい療法士やカウンセラーにつからまならいよう、気をつけていただきたいと思います。
話が長くなってしまいました。
では、自律訓練法のやり方をお教えします。
出来る範囲で構わないので、可能ならば、毎日練習して下さい。練習時間は、10分から15分ぐらいで結構です。夜寝る前にやっても構いませんし、そのまま寝てしまっても害はありません。
@ 静かな所で、ゆったりとした姿勢をとり、軽く目を閉じます。
A ゆっくりとした呼吸をくり返します。
B 「右腕が重たい」と、心の中でつぶやきます。
やがて、本当に重たく感じてくる筈です。
C Bが出来るようになったら、重たい感覚を全身に広げていきます。
D Cが出来るようになったら、「全身が温かい」
E Dが出来るようになったら、「心臓がとても静かに規則正しく打っている」
F Eが出来るようになったら、「とても楽に呼吸をしている」
G Fが出来るようになったら、「胃のあたりがとても温かい」
H Gが出来るようになったら、「ひたいがとても涼しい」
練習後には、効果の有無に関わらず、必ず次の消去動作をして下さい。
@指の開閉運動を5〜6回
A肘の曲げ伸ばしを3〜4回
B背伸びしながら深呼吸
C最後に目をあけます。
練習には個人差があります。早い人で、Bが出来るようになるのには、毎日練習しても、1ヶ月ぐらいかかります。
Hまで出来るようになる方は、ごくごく少数です。通常は、BからCが出来るようになれば、心の中から不安感は消えている筈です。Cが出来るようになっているのに、神経症や不安症を持っているというのは、ちょっと考えられません。
何故、この練習で、心身のひずみが消えるかというと、
全身が重たいと感じている時は、筋肉がどこにも力が入っていないダラっとした状態(どこにも力が入っていないと、筋肉は筋肉自身の重みも支えることが出来ず、重く感じます)で、非常にリラックスしている状態です。
実は、脳というのは、筋肉がリラックスすると、つられてリラックスするのです。
私たちは、脈拍を自由に変えることが出来ませんが、(ごくまれに、出来る方はいますが…) 呼吸数を変えることは、比較的容易に出来ます。
それと同じように、私たちは、脳を直接リラックスさせることは非常に困難を伴うのですが、筋肉をリラックスさせることは、練習次第で比較的上手にできるようになるのです。そして、筋肉をリラックスさせること=脳=心をリラックスさせることなのです。
自律訓練法は、ひとりで練習しても、もちろ出来るようになります。けれど、「どうもうまくいかない」「もっと早くできるようになりたい」と思われる方は、1〜2度、専門家の指導を仰ぐことをお勧めします。習得が早くなること請け合いです。私のカウンセリングルームでも指導させて頂いております。
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