世の中には、酷いカウンセラーがいます。
それは、腕が未熟だったり稚拙だったり、性格が悪かったり等、いろいろです。
そういう、余所で酷い目にあったクライアントの話を聴くと、胸が痛み、大変に腹
立たしくなったり悲しくなったり、同業者として情けなく、申し訳ない気持ちにな
ります。
けれど、クライアントの認識不足から、平凡で普通のカウンセラーを「酷い」と決
めつけてしまっている場合も多々あります。
よく見聞きするのが、
カウンセラーのことを魔法使いか超能力者だと誤解しているケースです。
カウンセラーは、世間一般の人より、話を聴くのが上手で、専門的な知識を有して、
適確なアドバイスをすることが出来る人に過ぎません。
話そうとしないクライアントの心の中を読むことが出来たり、クライアントが長年
悩んでいることを一発で解決する能力を持っているわけではありません。
そのあたりを勘違いしているクライアントは、
カウンセラーに落胆したり失望したり、腹を立てたりすることが多いです。
またよく聞かれることですが、
カウンセラーは、クライアントの話を熱心に聴こうとはしますが、喋らないクライ
アントの話を無理に引き出そうとはしません。喋れない喋りたくないクライアント
の気持ちに寄り添おうとするのがカウンセリングです。
話をちゃんと聴いてくれなかったと不満を持つのはありですが、
話を引き出してくれなかったと不満を持つのは、ちょっと違うかなぁと思います。
カウンセラーは太鼓のようです。
叩けば鳴りますし、叩かないと鳴りません。
有能なカウンセラーは、叩けば良い音を出しますが、
無能なカウンセラーは、叩いても悪い音しか出しません。
そこが良いカウンセラーと悪いカウンセラーの違いです。
太鼓ですから、クライアントは叩いて下さい。
上手に叩けば、本当に良い音が出ますし、叩かないと音が出ません。
有能な占い師は、黙って座れば、ピタリと当てることが出来、お客さんにどうすれ
ばいいか、今後の生き方を指し示することが出来るでしょう。
有能な整体師は、立った姿勢からも座った姿勢からも、どこが悪いか判断し、お客
さんがウトウト寝ていても、背骨や筋肉を矯正し、治療することが出来るでしょう。
有能な歯科医は、口さえ開ければ、レントゲンさえ撮ってしまえば、自分が何をな
すべきか、ほとんど理解すること出来、治療を開始することが出来るでしょう。
ところがカウンセラーは、クライアントから話を聴かないと、クライアントから協
力を頂かないと、ほとんど無力なのです。よって、良いカウンセラーに出会いたい
のなら、まずはクライアント自身が、カウンセリングルームで何をなすべきか、あ
る程度は知っておく必要があります。宜しければ、ぜひカウンセリングの上手な受
け方をご覧下さい。
私は、心理臨床家として20数年のキャリアがあります。臨床数は、のべ15,000件を
超えています。長きに渡って、数多くのカウンセリングをしてきたわけですし、カ
ウンセリングには、カウンセラーとクライアントの相性がありますから、何処かで
誰かが私のことを「最低最悪の酷いカウンセラーだ」と言っていても不思議ではあ
りません。
それを致し方ないと言ってしまえばそれまでです。私のカウンセリングを受けて満
足されなかった方に対しては、大変に申し訳なく残念に感じると共に、これからも
一心理臨床家として、精進を重ね続けたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願
い申し上げます。